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フルーツ王国である山梨の秋を代表する特産物で、観光狩りやワインの原料としても親しまれているぶどう。その栽培にまつわるさまざまな要素を探るべく、 出荷スタート直前の 8 月 8 日、古くから産地として有名な勝沼にある「天野ぶどう園」にお邪魔しました。
ここでは出荷用とワイン用のぶどうを栽培していて(観光狩りは基本的に実施していません)、 11 月にかけては次々と旬を迎える品種に応じての出荷準備に追われることに。そんな中、一番乗りとなる「種なしデラウェア」の出荷作業を進めつつ、この道 60 年という園主の天野恒雄さんが丁寧に説明してくれました。 |
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収穫されたばかりの「種なしデラウェア」  |
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いわく、「今年のぶどうは色が早いですね。でも、色が出すぎると味が落ちるので、そのバランスが難しいところ。とはいえ、こうした着色のよさをもたらす寒暖の差――特に秋口に笹子峠から吹く、“笹子おろし”と呼ばれる冷たい風の影響や、水はけのいい地質という点で、勝沼はぶどう作りに最適な土地と言われているんですよ」。試しに採れたてのデラウェアを食べてみると、粒の大きさからは予想できない濃厚な味が口いっぱいに! 甘みたっぷりです。
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出荷準備を進める園主の天野恒雄さんと奥様  |

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ちなみに、勝沼の中でも日本のぶどう栽培の発祥地とされるのが、甲府盆地の東、斜面に山焼きの鳥居型があるあたり。「天野ぶどう園」からもよく見える、この鳥居平(とりいびら)は標高 500m ほどで、ぶどう作りに最良の環境なのだとか。 |
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ぶどう栽培の主な過程: |
【12〜2月】
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剪定 |
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【3〜4月】
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枝やツルの調整(ツルの巻きつけ) |
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【5〜6月】
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摘果 (選んだ房は棚に固定) |
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【6〜7月】
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デラウェア、甲州ぶどう以外の品種は房の形を調整(摘粒) |
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【7月〜】
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種なしぶどう(デラウェア・紫玉・巨峰・ピオーネ)のジベレリン漬け/袋かけ |
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【8〜10月 】
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収穫 |

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左から、テープナー、バインド線、房にかけたカサをとめるためのホッチキス――ぶどう作りの手作業には、こんな道具が使われています。ホッチキスは、丸いフックを小指にかけて使うそう。 |
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上段左から、巨峰と似た味わいの「種なし紫玉」、巨峰よりさっぱりとした「種なし藤稔(ふじみのり)」、シャキシャキ感のある「種なしピオーネ」。下段左から、さっぱりとした甘みの「ネオマスカット」、絶妙な歯ざわりの「ピッテロビアンコ」、非常に甘みの強い「甲斐路」 |
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甲州ぶどうはロシアのコーカサス地方が原産地で、およそ1300年前に遣唐使らが日本にもたらし、最も気候風土が 適した山梨県の勝沼に根づいたという国内唯一の在来品種。いわば、勝沼がどこよりも誇るべきぶどうですが、その地味な見た目や味わいから果実としての人気が伸びず、現在では作る農家が減りつつあるのだとか。しかし、他より強い 品種のため農薬を使わずに済む点、また、甲州種(白)ワインとして多様な味わいに変貌する奥深い魅力を考えると、この現状を悲しく思わずにはいられません。「甲州ぶどうは勝沼が原点。何とかして残していきたいですね」という天野さんの言葉が心に残りました。 |
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